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【登山】テント泊で金峰山瑞牆山登山とか 1日目・金峰山

2024年5月18日(土)天気:晴天

 

自宅でもホテルでもない、自然の中でテントという幕1枚しかない空間で寝るという非日常がとても好きで、しょっちゅうキャンプに行っては外に寝て、旅に行っては車で寝て。そんな人間が思い描く、山で寝るということ。それを今回初めてやってみようかと思い立ち挑戦してきました。

 

今回その舞台に選んだ山は、山梨県と長野県と山梨県の県境にある「金峰山」2,599m。日本百名山で、古くから信仰の対象とされる奥秩父山塊の盟主にふさわしい名峰です。読みは山梨県側で「きんぷさん」長野県側で「きんぽうさん」。

そしてもう一座は同じく日本百名山の「瑞牆山」2230m。溶岩石である花崗岩がワイルドに剥き出しの、荒々しいその見た目は遠くから見てもすぐ分かる岩山で、本格登山の入門と言われるような山登りができるそう。

 

関東近郊で「テント泊登山 初心者」でググると必ず出てくる富士見平山荘のテント場で一泊します。スタートは山梨北部の山塊を貫く林道クリスタルラインの北限近く、北杜市にある瑞牆山荘です。

 

カメラは α7Ⅳ と Tamron20−40mm model A062。

 

スタートの瑞牆山荘は公共交通機関の便もそこまで悪すぎるわけでは無いですが、今回もやっぱりバイクです。隙間にねじ込めますからね。流石に土曜日なだけあって車が路肩まで溢れています。

準備をし、9時ジャストに登山を開始。テント泊だから結構遅めの登り始めです。

 

素晴らしい天気と、暑すぎず寒すぎずの最高の気温の中、燦々と降り注ぐ木漏れ日に癒されながら序盤の歩きやすい道を登ります。流石に慣れないテント装備のせいで汗だくですが。

林道を横切り、傾斜がだんだんキツくなってきます。

 

ジグザグに斜面を登り、しばらくすると稜線に出ます。ここで北側の林が若干途切れ、その隙間からゴツゴツ岩山の瑞牆山が顔を出します。かっこいい山ですね!

 

2回目の林道に出会うとすぐに、金峰山瑞牆山の分岐点である富士見平山荘に到着、時刻は9時40分。ここをベースに、まずは初日の金峰山を往復で攻めます。

テント場は思った以上に広く、林の奥の方まで設営可能場所が広がります。おひとり様1000円で、左側にあるウッドデッキを使用する場合は追加500円。とりあえず見つけた平たい場所にサクッと設置します。

 

若干の休憩も挟み、10時5分再スタート。本来はアタックザックのような小さなザックに変えたり不要なものを置いておくのですが、トレーニングも兼ねて場所取りのテント以外は全て背負ってます。

斜度はそこそこですが足場が砂利っていて歩きづらい、岩の山なのだとわかる登山道をヒーコラヒーコラ。

 

陽の差し込む森を歩いていると、苔の生えた岩とかがたくさんあります。このふかふかの苔が好きで、マクロのように撮るとまるで山を鳥瞰で眺めたような、小さな大きい世界がそこに広がります。この苔の大きな山の中を、小さな虫たちが一生懸命山登りしてるのでしょうか。

 

鷹見岩との分岐。ここから若干下ります。

 

登山道が急に開けて、ふと右下を見ると立派な建物があります。10時55分、大日小屋に到着。登山道は登っていくのですが、ちょっと降りて寄り道。

 

無人の大日小屋の内部探索。そこそこ広く、カメラの露出を上げて撮ってますが内部は薄暗く埃くさい、所謂廃屋の様相。ただ敷物さえ敷けば普通に寝れるかな。毛布も見た目は綺麗です。

 

登山道に戻ります。見上げると大日岩の頭が見えます。2枚目の写真の奥が大日小屋のテント場で、6・7張り程度のコンパクトな場所、現時点では誰も張っていません。土日なのに。静かに過ごしたい人ならこっちもアリですかね。ここでテントを張る受付は富士見山荘で。

 

岩場あり、急登ありで、11時25分に大日岩の麓に到着。樹林帯の中の登山ですがなかなか変化があって楽しいです。荷物が重たいせいで足が重いし体ギシギシですが。

 

ここからがひたすら登り、根っこ有り岩あり、踏ん張りどころ。小足でちょっとずつ確実に、だけど止まらないよう進みます。

 

登山道から視界を上げ見上げると、木々の額縁の中に抜けるような青い空と矢印看板が現れます。ここが砂払ノ頭と呼ばれる稜線のポイントで、急に視界が開けてとても壮観。

この時点で12時15分。思った以上にペースも上がらず、この辺でお昼ご飯にします。

 

12時55分に登山再開。稜線の岩頭のような道の先を覗くと、一気に視界が開けます。

ここでやっと目的地の金峰山が見えました。右の写真の奥、ぽっこり飛び出している岩が五丈岩でピーク。砂払ノ頭が2317mなので、あと270mほど標高を上げるだけ。もう一息!

 

南側の斜面の切れ込み具合が凄まじい!足がすくみます。断崖絶壁のへりを落ちないようにビビりながら…日常生活でこんなにわかりやすい死と隣り合わせな状況って、なかなか無いですよね。

この辺の崖に、千代ノ吹上という名がついています。なんでも、女人禁制の金峰山に夫婦で登った際、ここで妻の千代が滑落してしまう。神の怒りと恐れ慄いた夫が、ちよの罪が許されるよう山頂で祈り続けたところ、崖下から突風が吹き千代が戻ってきたとのこと。

確かにこれだけ切れ込んでいれば場合によってはとてつもない吹上げがあるんだろうなぁと想像します。

 

素晴らしい景色。最高の天気の日に来れたことを感謝しつつ歩を続けます。

この写真、真ん中よりちょい左の岩の影に建物があり、これが金峰山小屋という山荘で。なんつー場所に立ってるんでしょうか…

 

一つ前のピークまで行くと、目前に五丈岩が。ここまできたらゴール目前。

 

13時40分、金峰山 登頂。

所要時間4時間40分、うちテント設営に35分と途中の昼食で45分といったところ。

山と高原地図のコースタイムだと4時間10分なので、ほぼテント装備を背負っていたとはいえ自分の感覚では相当掛かったように思います。これで中級扱いの山なんですよね。きっついなぁ。

 

山頂から南面展望。乙女高原、塩山方面と遠くに富士山が見えます。気温が高めの日中なので、ちょっとモヤ掛かっていますね。

 

山頂から西面展望。今歩いてきた大日岩からの稜線と、独特な形状の瑞牆山、そしてその奥に雄大八ヶ岳と、南アルプス北アルプスも遠くに見えます。

 

東面は朝日岳国師ヶ岳、左奥に見えるのが甲武信ヶ岳でしょうか。甲武信は今年中に登りたい山です。

 

さて、思いの外時間がかかってしまった山頂、このままたそがれて居たいのですが、そうもいっていられません。テントへ帰らねば。

14時5分、後ろ髪引かれつつ帰路につきます。ちょっとだけ寄り道して、先ほどチラリズムした金峰山小屋方面へ下ります。

 

山荘前の玄関にあたる道、しっかりと石畳のように整地され、小屋もとても綺麗。この写真だけ見るととても山の上にある山荘だと思えないような綺麗さです。外観だけ見て、踵を返します。

 

横ばいに歩いて稜線の主道に戻ってきました。ここからガンガン降っていきます。14時40分砂払ノ頭、ここから樹林帯に入り景色は無くなります。また来よう、金峰山。次はもっと鍛えて楽に登ってやる。

 

浮石に注意しながら木の根の階段を降りていきます。大日岩に15時20分。今回あまり膝が痛くならないのは、重点的に腿を鍛えた成果からか。

 

目線の位置から足の置き位置が遠いので、下りの鎖場は上りとは違った恐ろしさがあります。大日小屋も通過。そういえばテントが1張り立っていました。土曜なのに閑散なのは羨ましい。

 

ちょっとずつ日が傾いてきました。周りには誰もおらず会わず、黙々と降っていきます。

 

お、小屋が見えました!無事帰ってきたー。自分の到着は最後の方だったようで、みなさんもう思い思いの時間を楽しんでいるようで。

小屋でビールを購入し、自分も今日の絶景な金峰山に感謝の乾杯。

 

木々の向こうに覗く山塊に、空を赤く染めていた太陽が隠れると現れるブルーモーメント。このマジックアワーを彩るグラデーションを楽しみたくて、外で夜を迎えるテント泊に固執するところはあります。最高ですよ。

 

夜の帷もすっかり落ちて、程よい酔いと体の疲れで瞼が重い。明日は早めにおきたいので、8時ごろにはすっかり落ちていました。

 

翌日の瑞牆山へ…