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【旅行記】八木新宮線の乗車とか 紀伊半島リベンジ1日目 その2

2023年11月10日(金) 天気:雨

 

今回乗車する八木新宮線は、奈良県橿原市に位置する大和八木駅から和歌山県の海沿いにある新宮駅まで、全長169.8km、停留所数168、高速道路を使わない路線バスとしては日本一の長さを誇る、いわゆるローカル路線バスです。

運行は奈良交通株式会社、特急103系統。一日三本運行し、土日休の真ん中の一本は「観光特急やまかぜ」という停留所の少ない運行をしています。今回は平日の2本目、各駅停車。

https://www.narakotsu.co.jp/rosen/yagi-shingu/ (奈良交通HP)

自分が一番驚いたことは、これを一人の運転士が通しで運転するということ。休憩があるとはいえ、すんごい・・・

 

乗り物好きとしては一度は押さえておきたい、日本一のバス。半年前の敵討ちを果たしたので、その記事です。

 

 


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八木新宮線は、大和八木駅の南口2番バス停から発車します。バス停に表示される系統図のこの異常性は、これから乗車する者を否が応でもでも奮い立たせます。

 

列に並んでいると、「新宮駅」と異常に遠い行き先の書かれたバスが入ってきました。終点の新宮駅まで安全運転よろしくお願いします!

 

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車両はいすゞのエルガというバス。長距離に対応するため前ドアの後ろ席、マニア席が燃料タンクに改造された長距離用の特注車で、タンク容量160Lも入るそう。

運転士さん曰く一往復の走行で100L前後使うということでした。片道50Lだとしたら単純にリッター3.4kmですか。意外と燃費良いのはさすがハイブリッド。

 

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大和八木出発したバスは、大和高田方面に向かい、国道24号に入ります。忍海や御所の駅前を通りながら、まずは1個目の休憩場所である五条バスセンターへ。

 


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五条バスセンターまでは1時間23分。ここで約10分のトイレ休憩を挟みます。先頭の表示板に、各地への所要時間が表示されていますが、うん、ちょっとした夜行バスクラスですね。

バスセンターや五条駅でも数名乗車。このバスは座席数的には結構多いんですが、二人掛けに一人座りで数列余る程度には乗車していました。結構乗ってる。

 

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五条バスセンターを出発したバスは、国道168号線をひたすら南下。終点の新宮まで、基本は168号です。ここら辺から山岳区間に入っていきます。

 

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道中は十津川や熊野川を車窓に見ることができますが、結構川底はフラットで、ところどころ山が崩れた跡が残っています。

これはほとんどが平成23年台風第12号、いわゆる紀伊半島豪雨と呼ばれる災害の傷跡で、この台風で死者83人、行方不明15人、負傷者113人(wikipedia抜粋)も出たほどの災害でした。当時の報道で、川が山崩れで堰き止められて天然ダムになってしまっているニュースをよく目にした記憶が、この旅で甦りました。これだけ時間が経っても、生々しいです。

 


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バスは2回目の休憩地点、上野地に到着。五条からの所要時間は1時間33分、トータル2時間56分となり、この旅の丁度中間点となります。休憩時間は20分で、乗客の人々は体を伸ばしたり、トイレに行ったりしています。


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運転手さんの放送で、バス停近くにある谷瀬の吊り橋という名所にプチ観光。

この谷瀬の吊り橋は、「生活用」としては日本一長い吊り橋で、長さ297m高さ54m。1954年に作られた古い吊り橋です。日本一長いバスで行く日本一長い生活用吊り橋、良いロケーションじゃないですか。

ちなみに単純な日本一長い歩道吊り橋は三島スカイウォークの400m、もしくは明石海峡大橋の3911mですか。

 

 


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休憩ののち、バスは出発します。こんな僻地でも、おばちゃん集団が何人か乗ってきました。前のバスで来たか宿泊でしょうか。車内結構混み合ってます。

写真はバス通り。国道自体が狭い未改良部分も多々残る168号線。乗用車やダンプも通るこの道を躯体のでかいバスを駆る運転手さんの技量には度肝を抜かされます。しかもこれを毎日とな。

 

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風屋ダムの先も大きく崩れたところがあり、幾重にも砂防ダムが作られていました。もともとこの辺の地質としては崩れやすいのではないでしょうか。知らんけど。

 

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上野地を出発したバスは、十津川沿いに国道168号線をさらに南下、次の休憩地十津川温泉まで進んでいきます。

 


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十津川温泉バス停で10分の休憩。上野地から1時間15分、出発から4時間42分。

八木新宮線の周りには十津川村営のコミュニティバスが2台いて、中に幼稚園児がたくさん。運転手さんと戯れていて、日本一広い村の交通を担う大切なバスなんだなと思いました。

 

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十津川温泉を出発し、程なくするとホテル昴という停留所に着きます。驚くことに、このバス停で車内の6〜7割くらいの人が下車して行きました。そんなに人気のホテルなのでしょうか。

 

さらに進むと世界遺産熊野古道の主要施設、熊野本宮大社に到着します。ここでも下車があるかな?と思いましたが、流石に熊野を巡るなら新宮から行くか。この辺からすっかり暗くなってきました。

 


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本来なら熊野本宮大社からすぐ右折し、山の裏にある湯ノ峰温泉というところに向かいますが、ここはだいぶ前から道が崩れていてぐるっと迂回。しかも道も狭いし対向も多い。暗いし、Uターンも。プロってすげぇな。

 

山岳地帯特有の山の暗さの中、国道168号を突き進み、気がつくと新宮の市街地に入っていました。このバス旅はここで終了です。

 

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終点、新宮駅前。168.9kmを所要時間6時間55分(休憩含む)くらいで走り抜けました。平均速度は25km程度となります。

終わってみると疲れなどもなく、楽しかったという想いのみが残る、そんな乗車体験でした。

 

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 整理券番号が109とな!こんな細かい数字初めて見ました。事前購入のバスバイク乗車券だと5350円、車内精算だと6730円になると言うことです。

 

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全線完乗の記念品をもらいました。下の栞のようなものは奈良県産の杉だそうです。うれしい。

 

前回のリベンジを果たすことができた八木新宮線。乗り物好きにはぜひ訪れてもらいたい。

次訪れる時は、日本で2番目に長い熊野市ー松坂という三重交通のバスにも合わせて乗ろうと思います。

 

紀伊半島の旅2日目へ続く